前回のコラムでは、Googleの新OSがIoTのイノベーションを促進するのではないかと書きました。しかし、IoT関連のニュースは現時点では大企業のものが多いのが現状です。ここ数年の携帯アプリなどのような、草の根の開発者による商品が盛り上がる事はあまり見かけません。これは、小型のIoT機器の商品化のハードルがアプリなどに比べて高い為です。今回はその点について書きます。
携帯アプリなどが急激に増えた背景には色々ありますが、主に次のような理由が挙げられます。
開発環境が充実している
ニーズに気付きやすい
商品やサービスを消費者に届けやすい
これにより、一人のプログラマが開発して商品化まで持っていくのが非常に簡単でした。ある意味技術者が美味しい所を独り占めしていた感はあります。しかしIoTに関しては、開発環境についてはかなり揃ってきていますが、その他の二点がボトルネックになっています。
携帯アプリは普段から使っているので、「こんなアプリが欲しい」と思う機会は非常に多いと思います。また、単純にPCにあったソフトを携帯で動くようにするだけでも商品になり得ます。しかし、IoT商品に関しては同じではありません。恐らく現時点では、Apple Watchやfitbitなどが一般の消費者が触れる事が一番多いIoTだと思います。しかしまだそれほど普及しているとは言えません。なかなかニーズに気付きづらいというのが現状です。一般のアプリをそのまま置き換えるというと、これもまた違います。
例えば、キュウリの選別にカメラと人工知能を使うというようなIoTの例があります。これはある農家の息子さんが、非常に時間がかかるキュウリの選別を人工知能で出来ないかと思ったのがキッカケだそうです。こういうアイデアは、その場に居合せないと中々思いつきません。また、この農家の息子さんがプログラムを出来ないと、なかなかこういう成果は出ません。
つまりアイデアが出てくる確率が低いので、一人で考えていても中々モノにならないという事です。
次に販路についてもアプリに比べると大変です。材料の仕入れが必要ですし、在庫も持たないといけません。この辺りのオペレーションのノウハウが必要になってきます。
これらの理由からアプリ開発と比べると、ある程度の非プログラマを含むチームでないと開発が難しいというのが印象です。逆に言うとまだこの分野はこれからなので、今のうちなら先行者利益の恩恵があるかもしれません。
このコラムや私のTwitter(@plsplsmelab)ではIoT関連の面白い話題を紹介していきます。これを見て皆さんがいいアイデアを出してくれる事を願っています。
Written by plsplsme