「ソーシャルメディア成功事例」第2弾は日本でもブームとなったコールドプレスドジュース専門ブランドのJuice Served Hereに着目したいと思います。
Juice Served Here:
コールドプレスドジュースとは、従来の高速回転ジュースではなく、低回転で強い圧をかけて果実や野菜の味、栄養素を凝縮したジュースのことを言い、近年飲料業界に新風を吹き込みました。
Juice Served Hereは現在LA近辺で14店舗までに拡大し、多数のオシャレカフェなどでもよく見かける程に急成長中。店内はまるでハイファッション雑誌に出てくるカフェのよう。洗練されたクールなデザインは店舗のみならず、パッケージ、ウェブ、ソーシャルメディアのすべてに反映されています。
ブレないブランディング:
Juice Served Hereでは「NEVER CONVENTIONAL」をブランドアイデンテティとして掲げています。CONVENTIONALは「従来的な」と言う意味があり、NEVER CONVENTIONALは、従来的な物事や考えを否定すると言う意味が込められています。
このアイデンテティを元に、従来にない、新しい形の「健康的なライフスタイル」を常に提案し続けています。また、主な販売ルートは自社が運営する店舗とウェブサイト。大型スーパーには卸さず、自社が選ぶ同じ価値観を共有するカフェやレストランへ商品を卸しています。
今年の夏には初となる自社制作フリーペーパー「THE UNCONVENTIONAL」も発行。ここにはJuice Served Hereが推奨する健康的なレシピ、他業界の商品、LAで活躍するクリエイターのインタビューなどが掲載されています。
このように、従来の飲料ブランドのあり方に捉われず、新しいライフスタイルを発信するイノベーターブランドが隅々までに徹底されています。
80/20の法則
ソーシャルメディアマーケティングで最も見落としがちなポイントがこの80/20の法則です:
80%はライフスタイル、コミュニティー、物語に関するコンテンツ。
20%は自社に関するコンテンツ。
Juice Served Hereのソーシャルメディアでは、人々が共感できるライフスタイルやストーリーが、ハイセンスな写真を通して語られています。
Photo Credit: REYALFASHION
こちらは、LGBT(同性愛者、両性愛者、トランスジェンダー)コミュニティーの4人のクリエイターにスポットライトを当てたインタビュー記事。毎年6月に行われるLGBTコミュニティーの活性化・認知拡大を目的としたイベントに合わせて展開されたこちらのコンテンツは、多くの反響と共感を呼びました。Juice Served Hereは従来的な考え方を否定し、前へ進む者を応援するストーリーを人々と共有しています。
この例のように、Juice Served Hereのソーシャルメディアでは、自社のことよりも、ターゲットユーザーが共感できるライフスタイル、コミュニティー、物語を中心に投稿を行っています。
多くの企業はソーシャルメディアを広告媒体と同じように捉えてしまい、自社が発信したい情報(商品の利点やセール情報など)を投稿してしまいます。しかし、ここで忘れてはならないのは、そもそもソーシャルメディアは企業の為のものではなく、一般ユーザーの為のものだと言うことです。ユーザーが心の底から共感し、自分のアイデンテティとリンクさせたいと思うものは、決して企業の半額セールではないはずだと、私は思います。
Written by CHI KITAGAWA