グローバル化が進む中、コミュニケーション力の重要性は日々高まる一方です。どんなにその国の言語ができたとしても、相手に伝わらなければ意味がありません。ビジネスやマーケティングにおける文章は、ほんの少しの工夫で見違えるほど、相手に「伝わる」文章になります。ここでは、アメリカのコピーライター達が使っているちょっとした言葉のワザを少しずつご紹介させて頂きます。
言葉のワザ第一弾:YOUの力
伝わる文章には必ずと言っていいほどYOU(あなた)が入っています。
まずは、ファイル共有サービス、Dropboxのウェブサイトに掲載されているコピーを例としてご紹介します。
サービスの内容を説明する文としては、こちらの文でも充分理解できます:
Take docs anywhere
Save files on the computer, then access them on a phone from the road. Everything kept in Dropbox is synced automatically to all devices.
(和訳:データをどこへでも。パソコンでデータを保存し、出先から携帯でアクセス。Dropboxに保存されているデータはすべて自動的に全デバイスへ同期されます。)
ですが、Dropboxが実際使っているコピーはこちらです:
Take your docs anywhere
Save files on your computer, then access them on your phone from the road. Everything you keep in Dropbox is synced automatically to all your devices.
(和訳:あなたのデータをどこへでも。あなたのパソコンでデータを保存し、出先からあなたの携帯でアクセス。Dropboxに保存されているあなたのデータはすべて自動的にあなたの全デバイスへ同期されます。)
一つ目の文章は機械的で取扱説明書を読んでいるようです。対する、二つ目の文章は、自分へ話しかけられている感覚になります。
YOUを入れることによって、大多数ではなく「あなた一人」へ、話しかけ、まるで誰かと会話をしているかのような印象を残すことができます。YOUは相手を自分の文章に巻き込み、「他人事」を「自分事」に変身させられる、魔法の言葉なのです。
こちらの例の場合、同じ文にYOUを5つも付け加えています。和訳を見ると、やりすぎ?と思うかもしれませんが、英語において、YOUでやりすぎ感が出ることは、ほぼありません。日本語だと「あなた」を多用すると、少し不自然で胡散臭く聞こえてしまいますが、英語のYOUはそのようにはなりません。何故なら、日本語の日常会話で「あなた」を使うことはほとんどないですが、英語の日常会話でYOUはどんな相手とでも必ず登場するのです。
「元気ですか?」→「How are you?」
「髪型可愛いですね!」→「I love your hairstyle!」
「その靴どこで買ったの?」→「Where did you get your shoes?」
このように日本語でわざわざ「あなた」と言わない場面でも、英語では必ずYOUが文章に入る程、自然な言葉なのです。YOUを使える部分はどんどん使った方が、相手に伝わる文章へ近づきます。
本当に些細なことですが、この一言で読み手の受け取り方は、大きく変わるのです。 次、英文を書く際には是非YOUを意識して試してみてください。
Written by CHI KITAGAWA