2024年から新たに施行されたBeneficial Ownership Information Report(BOIR)に関して、日系企業も含め米国で設立された法人(Corporations)、LLC(有限責任会社)、および特定のパートナーシップや信託などの法人格を持つ事業を運営している経営陣の方々は注意が必要です!
Beneficial Ownership Information Report(BOIR)とは?
2021年、企業透明化法(Corporate Transparency Act, CTA)が、アメリカの連邦法として制定されました。主な目的は、米国の企業構造における透明性を強化しマネーロンダリングやテロ資金供与、脱税などの金融犯罪を防止することだそうです。
そのCTAに基づき、米国内で設立された法人やLLC他は、*所有者及び受益者(Beneficial Owner)に関する情報を米国財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)に報告する義務を負います。この報告がBOIR(Beneficial Ownership Information Report)と呼ばれるものです。
CTAは連邦レベルで適用されるため、米国内のすべての州で同様に施行されます。各州の法人設立やビジネス運営に関する法律とは別に、この新たな連邦規制として遵守が求められます。
対象となる企業形態(報告が必要)
Corporations
Limited Liability Companies (LLCs)
Limited Partnerships
Business Trusts or Statutory Trusts
Other similar entities
*Sole Proprietorship (個人事業主) 、DBA(別名 FBN: Fictitious Business Names)の登録のみの方は提出対象にはなりません
報告が免除される企業形態
大規模な運営企業(20名以上のフルタイム従業員+実店舗や事業拠点+過去の年次売上高が5百万ドル以上)
公的に上場している企業
政府関連団体
特定の規制を受けた企業(銀行、保険/ 投資/ 公的事業会社、信用組合、株式仲介業者)
一時的な会社(Inactive Entities)
特定の非営利団体
特定の条件を満たした信託
これらの免除の対象となる企業や団体は、既に他の方法で透明性や所有情報の公開がされている場合が多く、追加の報告義務を負わないようになっていますが、免除を受けるかどうかについては個々の企業の状況によるため専門家への相談が推奨されます。
*所有者及び受益者(Beneficial Owner)の定義は?
直接または間接的に25%以上の持分を所有している個人
企業の株式や持分の25%以上を所有している個人が対象となります。持分は、直接的な所有だけでなく、信託や他の中間的な所有構造を通じた間接的な所有も含まれます。
企業の運営や決定に対して実質的なコントロールを行使している個人
企業の経営や重大な意思決定に影響を与える権限を持っている個人もBeneficial Ownerとされます。たとえば、取締役や経営者など、企業の意思決定に影響を与える力を持つ人物が該当します。(President、CEO、CFO、COO、General counselなど)
会社、所有者及び受益者(Beneficial Owner)として提出する情報
Reporting Company legal name
Alternate name (Trade name, DBA)
Tax Identification number: EIN(IRS納税者番号)
Address
Name
Date of birth
Address
Identifying document number (運転免許証 or パスポート番号)
Identifying document image(上記の画像)
報告期日は?
2023年12月末以前に登録された法人:2025年1月1日まで
2024年1月1日以降に登録された法人:設立等の手続き完了後90日以内
2025年1月1日以降に登録される法人:設立等の手続き完了後30日以内
変更報告:変更が発生した日から30日以内に修正報告
レポート提出(報告)方法は?
Beneficial Ownership Information Report (BOIR) は、米国財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN) にてオンラインで提出可能です。オンラインシステムは24時間利用可能
FinCEN BOI特設ウェブサイト: https://www.fincen.gov/boi
罰則とリスク
民事罰:1日あたり最大500ドルの罰金
報告を怠った場合や不正確な情報を提供した場合、以下のような民事罰が課せられます
刑事罰:最大10,000ドルの罰金、最長2年間の禁錮刑
さらに深刻な違反、たとえば虚偽の情報を意図的に提供した場合や報告義務を故意に無視した場合には、刑事罰も科される可能性があります
まとめ
BOIRは多くの日系企業にとっても必須の手続きです。不明点がある方は弁護士や会計士などの専門家に相談し、早めの準備をおすすめします!
それでは皆さん、GOOD LUCK!!
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