前回の記事で様々な分野でMLSがJリーグより高い数字を出していることを書きました。この記事ではなぜMLSがここまでの数字を出しているのかについて、リーグの仕組みの観点から説明したいと思います。
MLSの仕組み
MLSは日本のJリーグや欧州のリーグとリーグ自体の仕組みが大きく異なり、特徴は三つあります。その特徴は全てクラブ間格差をなくすのが目的となっています。
クラブ間の格差がなくなるということは白熱したリーグ戦になりやすく、一つの大きなエンターテイメントとしての盛り上がります。結果的にファンが増え、大きな経済圏の形成につながります。
一つ目は「シングルエンティティ」システムです。このシステムはリーグとクラブが一つになって経営をする制度です。リーグ自体が親会社であり、各クラブは親会社に属する子会社のような存在になっています。各クラブに所属選手の給与や選手を獲得する際にかかる移籍金を各クラブではなく、リーグ側が負担をしています。MLSに所属する選手が海外のクラブに移籍した際に発生する移籍金をリーグ側が約30%、クラブ側が約70%受け取る仕組みになっています。
また、MLSはサラリーキャップ制度を導入しており、リーグで定めた以上の給料を選手の人件費に使えないようになっています。特定のチームにスター選手が偏ることがなくなり、リーグ全体としてどのチームも成長できるようにする仕組みを作っているのです。
二つ目はドラフト方式です。これは有力な選手が特定のチームに集中することを避け、クラブの戦力差の均衡を保つための制度です。ドラフト方式は日本プロ野球で導入されている制度なので馴染みのある方が多いと思います。この制度はアメリカですでに絶大な人気を誇っている4大スポーツリーグを参考にして導入されました。この制度のおかげでどのクラブも有望選手を獲得できるチャンスがあります。2016年にとある日本人選手があるMLSのクラブにドラフト一位指名で加入することがありました。
三つ目は昇降格がないことです。昇降格がないことでクラブ間の戦力差が生まれづらく、どのクラブにも優勝する可能性が生まれます。
昇降格制度はほぼすべての国のサッカーリーグで採用されている制度なので、ないということはサッカーファンとして驚きです。日本のJリーグではJ1からJ3まであります。しかし、MLSでは代わりに東地区と西地区で二つのリーグがあり、各リーグの上位クラブが戦うMLSカップというもので優勝チームを決めます。この仕組みも日本プロ野球や四大スポーツに似ています。
ここまで何度も述べてきたとおり、MLSでは各クラブの戦力を均衡に保つということに重きを置いています。これがクラブ間で格差を作ることによって競争を促すJリーグや一般的なサッカーリーグとの決定的な違いです。
MLSは世界的に有名なクラブを作るのではなく、リーグ全体が成長し、全てのクラブが盛り上がっていくことを重視しているのです。どのクラブも優勝する可能性があるので一部のクラブだけが人気になるのではなく、リーグ全体で人気が増えています。
また、ビジネスの観点から考えた時に、どのクラブも一定以上の人気があり、安定した経営を行っているということは投資家たちにとってはとても魅力的なんです。投資家たちが出資をしてくれるおかげでMLSは更なる成長を続けています。サッカー専用スタジアムもどんどん建設されており、これからも人気は上がり続づけると思います。\
サッカー界の常識的なやり方に従うのではなく、視点を変え、別のスポーツのリーグのいいところを取り入れてみるということが成功の要因になっているのかもしれません。
このことはサッカーだけでなく、他の分野にも通ずることなのかもしれないと思いました。
次の記事ではMLSが行ってきた特徴的な施策などについて書いていこうと思います。
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